BLOGよくわかる解体工事ガイド
解体工事が初めての方へ|全体の流れと業者の選び方、届け出についてなど
自宅を建て替えたり、中古住宅を購入して古屋を撤去したりする場合に、まずは家屋の解体工事をおこなわなければなりません。 ただ初めての解体工事だと、いったい何から手を付ければよいのかわかりませんよね。 解体工事の大きな流れとしては、次の4ステップです。
- 1.解体業者選定
- 2.工事開始前までの準備
- 3.解体工事(業者がします)
- 4.工事完了後の手続き
こちらの記事では、解体工事の細かい流れと施主側がやるべきこと、注意点などを紹介します。 このひと記事で解体工事のすべての流れがわかるので、ざっとでも頭に入れておきましょう。
解体工事ステップ1|業者探し~契約まで
解体工事の第一歩は、業者探しから始まります。 滞りなく解体工事を完了させるポイントは、業者選びと言っても過言ではありません。 解体工事における施主の仕事は業者探しと思って、信頼のおける業者選びをしましょう。
解体業者の探し方
解体業者の探し方としては以下の方法があります。
- ・インターネットで検索
- ・タウンページ
- ・ご近所の口コミや紹介
業者を選ぶ際の注意すべきポイントは以下のとおりです。
- ・実績豊富である
- ・評判が良い
- ・マニフェストを発行してもらえる
- ・解体工事の許可を得ている
- ・担当者の対応の雰囲気があっている
他にも「木造(あなたの解体したい家の造り)に対応しているか」や「狭い路地に入れるような重機があるか(現場による)」といった条件もありますが、まずはこの5つを基準にしましょう。 これらの条件から候補を数社にしぼり、最終的には見積もりの後に業者を決定します。
実績が豊富なこと
解体業者選びにおいて、実績は重要です。 若い会社のすべてがもちろん駄目ではありません。 値段が安い場合も多いのですが、あなたの家の造りの解体がはじめてだったり、現場員が全員外国人であったりと、不安要素が目に付く場合が多いのです。 もし雑な作業をされてしまい、近所からあなたにクレームが入った時、あなたは現場の怖そうな男の人たちに声をかけられますか? 実績は大切なのです。
評判が良い
もし実際解体を経験した人が紹介するよい業者があれば、その業者にするのもよいでしょう。 相見積もりサイトなどで値段だけで選んだ業者は、安いだけあって仕事ぶりが丁寧でないことも多いです。 解体工事はただでさえ騒音トラブルになりやすい工事。 建てるときは数ヶ月かけて丁寧に組み上げるところ、壊すときは一週間なのです。 重機などで一気に壊し、瓦礫をどんどんトラックに積み込んで搬出するのですから当然ですよね。 しかも安く工事を請け負った業者は、騒音が少なくなるよう気を使った丁寧な作業がそもそも難しい状況にあります。 一件あたりの値段が安い分、月当たりの数をこなさなければ売上が上がらないからです。 よって安い業者であればあるほど近所からクレームが入りやすく、そして現場に日本人のいる可能性が下がります。 「とにかく安く」で選ぶよりも、評判を重視しましょう。
マニフェストを発行してもらえる
マニフェストを発行してもらえる会社を選びましょう。 マニフェストとは解体で発生した廃棄物の処理・運搬を記録するものです。 格安の解体業者ほど、廃棄物を「不法投棄」することで費用を浮かそうとする傾向があります。 不適正な処理による環境汚染や不法投棄の片棒を担がないためにも、マニフェストの有無を事前に確認しましょう。
解体工事の許可を得ている
解体工事業者には許可が必要であり、誰でもできるわけではありません。 きちんと許可を得ている業者かどうかを確認しましょう。 令和元年6月以降、解体工事業をするなら以下のどちらか一方が必要です。
- ・建設業許可
- ・解体工事業登録
また必須ではないものの、以下の許可を得ていると廃棄物処理に関してより安心できます。
- ・産業廃棄物収集運搬業許可
- ・産業廃棄物処分許可
- ・一般廃棄物収集運搬業許可
関連記事:解体工事で登録・許可なしは違法!悪徳業者を避けるポイントを紹介
担当者の対応の雰囲気があっている
担当者の雰囲気も大切にしましょう。 解体工事は上でお話したとおり、騒音トラブルの出やすい工事です。 解体工事では工事前の挨拶や工事の丁寧さ、トラブルが起こったときの対応力など、実際に工事が始まるまで見えにくい部分が重要になってきます。 さらに「この部分の塀は残してほしい」や「この樹木は残してほしい」などのオーダーがある場合、もし業者側でうまく共有されておらずまとめて解体されてしまったりなんかしたら……。 そうならないよう、解体工事では今後業者の担当者と電話や見積もりで関わっていく中で感じる「対応の雰囲気」を大切にしてほしいのです。
補助金や助成金の有無を確認
解体工事を考えるにあたり、事前に自治体で補助金や助成金が受けられるかどうかを確認しておきましょう。 解体工事の場合、一定の基準を満たすことで補助金や助成金の支給を受けられる可能性があります。 条件は自治体によって異なりますが、以下に例をあげます。
- ・空き家であること
- ・築年数が一定以上
- ・腐朽破損レベルが一定以上
というのも、近年空き家が防犯性や街の景観上問題になるケースが増えており、その対策として補助金・助成金が設定されるかたちなのです。 「とりあえず壊したいから」でお金が出るわけではない、ということですね。 なお解体工事の補助金・助成金は国の制度ではなく自治体の制度となるので注意しましょう。 ちなみに名古屋で解体工事の補助金については、以下でまとめています。 関連記事:【2021年版】名古屋市で解体工事する際に降りる補助金
解体業者に現地を調査してもらう
ざっと業者の候補があがったら、業者に現地を見て調査してもらいましょう 素人ではわからないプロの目線で査定をしてもらえます。 確認ポイントは以下のとおりです。
- ・建物の構造
- ・坪数
- ・周辺道路の状況
- ・隣接建物との距離
- ・建物以外の処分物
見積り依頼と見積書の確認
現地を見てもらったら、見積りを依頼します。2~3社程度にしぼって見積りの依頼を出してみましょう。 見積書が届いたらしっかりと確認します。 見積書の確認はトータルの値段だけを見るのではなく、内容についても確認しましょう。 もしもこの時点でわからない項目等があったら、業者に質問して不明点をなくしておくと安心です。 この段階で、業者を決定します。 解体費用の相場や内訳の見方は「どう見る?解体工事費用の見積もり|内訳の見方や追加費用項目を紹介」にて解説しています。
契約
解体業者と契約をおこないます。 確認ポイントは以下のとおりです。
- ・金額の確認
- ・支払い期日や支払い方法の確認
- ・工期の確認
- ・瑕疵担保の責任を確認
工期は天候によって左右されるもの。無理のないスケジュールとなっているか聞いておかないと、あなたの工事後の予定に影響するかもしれません。 また思わぬ地中埋設物が出てきた場合の対応についても、確認しておきましょう。 なかには契約書を交わさずに進めようとする業者もいますが、解体工事の契約は建設業法第19条1項で定められていること。 あとから追加で請求してくる悪徳業者も中にはいるので、契約書をかわそうとしない段階で業者の変更も考慮に入れつつ、契約書を求めましょう。 参考:国土交通省「建設業法 e-GOV法令検索」
解体工事ステップ2|契約完了~工事開始まで
業者も決まり契約が完了したら、工事開始までにやることがあります。 この時期までは施主もやることが多いので、私生活のスケジュールが忙しい時期は避けたいところです。
ライフライン(電気・ガス・ネット回線等)の解約手続き|配管や配線の撤去
解体工事をおこなう前に、電気やガス、ネットやケーブルテレビなどの回線を撤去する必要があります。 これらの手続きは、施主自身でおこなうのが一般的です。 それぞれの契約している会社へ手続きをしましょう。 解体業者にお願いすることもできますが、業者へ依頼すると停止までに一週間程度かかってしまいます。 自分でやれば1~2日程度で撤去が始まりますので、自分で手続きをするのがおすすめです。 そこでライフラインの撤去については簡単なチェックリストを作りました。 連絡もれのないように確認しつつ行いましょう。 一点だけ注意すべくは水道の解約。 工事の際に周囲にホコリが舞い上がらないようにするため、水をかけながら行うためです。 なお水道代の扱いについては確認が必要です。 【確認チェックリスト】
チェック項目 | |
電気 | [ ] |
ガス | [ ] |
インターネット回線 | [ ] |
ケーブルテレビ回線 | [ ] |
セキュリティシステム | [ ] |
水道(解体業者に要確認) | [ ] |
その他 | [ ] |
※ 連絡が終わったものからチェックを入れておきましょう。
不要物を処分する
施主の仕事としては、家にある不用品の処分があります。 再利用できるものは、リサイクル業者へ引き取ってもらいましょう。 粗大ごみなどは気軽に捨てることはできませんので、自治体のルールに従います。 関連記事:解体前の不用品回収はどうすべき?費用を抑えるポイントや注意点
うるさいとの苦情トラブル回避のために|ご近所へ挨拶回りを
解体工事の前には、ご近所への挨拶回りが必要となります。 上記の通り解体工事は騒音や振動が発生し、近隣の住宅へどうしても迷惑がかかってしまうからですね。 具体的なクレームとして考えられるものは以下があげられます。
- ・騒音
- ・振動
- ・粉じんやホコリの舞い上がり
- ・作業員による休憩中のタバコのニオイ
- ・大型車や重機が道路へ侵入など交通の不便
- ・道路の汚れ(の放置)
赤ちゃんがいる家庭、病気の人がいる家庭、受験生がいる家庭などがご近所の場合はとくにストレスがかかってしまいます。 近年は、ご近所への挨拶回りは業者が行う場合も多いです。 ご近所への挨拶回りを誰がどのようにおこなうのか確認しましょう。
- ・業者がおこなう
- ・施主がおこなう
- ・双方一緒に回る
工事でのストレスはご近所同士お互い様なところがあるので、きちんと挨拶をしておくだけで心象がまったく異なるもの。 挨拶回りの際にはタオルなどの粗品を持っていくケースも多いですが、地域性もありますので適宜判断が必要です。 挨拶回りは業者に任せたとしても、ご近所の方と顔があった時には「ご迷惑をおかけします」と一言挨拶しておくなど、普段より少し気を使う姿勢が重要です。 関連記事:解体工事で隣の家からクレーム?発生しやすいトラブル例と対処法
【注意事項】解体工事に届け出が必要な許可や申請書類を確認する
解体工事をする場合には、事前に届け出をおこなう必要があります。 通常は業者の方でおこなってくれますが、念のため施主としても確認しておきましょう。 いくら安心できる業者にお願いしたとしても、すべてを業者任せにするのは危険です。 また申請の手続きにあたり、施主側がおこなうのか業者側がおこなうのかの役割分担をしっかりと確認しておきます。 解体工事に必要な申請や届け出は下表のとおりです。 (各自治体など届け出先によって異なる場合があります)
必要な届け出や申請 | いつまでに | やるべき人 | 委任できるか |
建設リサイクル法の申請 | 着工の7日前 | 施主 | できる |
道路使用許可の申請 | 着工の前日 | 解体工事業者 | 不要 |
ライフラインの解約 | 着工の前日 | 施主 | できない |
アスベスト除去の届け出 | 着工の14日前 | 施主・解体工事業者 | できる |
建築物除却届 | 着工の前日 | 解体工事業者 | できる |
建物滅失登記の申請 | 工事完了後1ヵ月 | 施主 | できる |
関連記事:解体工事に必要な届け出一覧|自分で申請すれば節約できるポイントも紹介 またアスベスト除去の届け出は、事前調査の結果アスベストが使用されていることが判明した際に必要となります。 詳細は「解体工事で建物にアスベストが使われていたら?除去の流れや費用目安を紹介」を参照ください。
建設リサイクル法の申請
解体工事をおこなうためには、建設リサイクル法の申請を届け出る必要があります。 建設リサイクル法の申請は、解体工事の7日前までに都道府県知事へ書類を提出しなければなりません。 建設リサイクル法とは、近年増大する建設廃棄物を、リサイクルできるものは再資源化するといった目的から平成12年5月に制定されたものです。 依頼者自身に建設リサイクル申請の届け出義務がありますが、業者へ委任することもできます。 忘れることがないように、どちらが申請をおこなうのか事前に業者へ確認しましょう。 参考:環境省「建設リサイクル法の概要」
道路使用許可申請
解体工事をするためには、道路使用許可申請が必要です。 解体工事をする際には大きな車両や重機が出入りしたり、作業をおこなったりするからです。 道路使用許可申請は解体業者の申請が義務付けられており、管轄の警察署長へ申請をします。 解体業者によっておこなわれることですが、念のため道路使用許可申請についても事前に業者へ確認すると安心です。
解体工事ステップ3|工事開始~終了まで(ほぼ業者側の作業)
いざ工事がスタートすると、施主としてはあまりやることがありません。 しかし追加工事が発生した、地中埋設物が出てきたなど工事を進める過程で予期せぬ事態もあるので、業者から連絡があったら対応できるようにしておきます。
足場・養生の設置
足場と養生の設置をおこないます。 養生を設置する目的は以下のとおりです。
- ・防塵
- ・防音
- ・振動の軽減
- ・安全
隣接する建物との距離などによって、現場の環境に合わせた養生の種類を選ぶ必要があります。
瓦や建物内部の撤去・分別・搬出
建物の解体は、屋根瓦の除去からスタート。 瓦は1枚ずつ手作業で撤去します。 次に、建物内部の撤去をおこないます。
- ・設備機器
- ・畳
- ・断熱材
- ・石膏ボード
- ・窓ガラス
- ・サッシ
- ・作り付け収納 など
基本的には手作業で行われます。 撤去された廃材は適切に分別して処理をおこなわなければなりません。 また建物にアスベストが使用されている場合には、慎重な処分が必要になります。
重機の搬入
重機の搬入をおこないます。 狭い周辺道路だと、大型の重機は入れません。 そのため搬入する重機は、解体現場に合った重機であることが重要。 現場の環境や立地条件に合った重機を持つ業者なら安心です。
建物本体・基礎の解体
建物本体と基礎の解体作業に入ります。 解体工事のメイン作業とも言えますが、実際には3~5日程度の期間で解体完了です。 最も騒音や振動がおこる作業なので、トラブルになりやすい期間とも言えます。
地中埋設物の確認・撤去|施主に相談が来る場合も
建物がなくなったら地中埋設物の確認をして、撤去をおこないます。 見積り段階ではわからなかった地中埋設物が出てくることもあり、見積り以外の費用がかかる可能性もあります。 そのため業者から相談の連絡が入る場合も。 その都度どう対応するのか、業者との相談が必要になります。 関連記事:「地中埋設物にご注意ください!」
ガラの撤去・整地|重機の搬出
ガラの撤去と整地をおこないます。 解体工事もいよいよ終盤。ここまで終了したら重機はもう必要なく、重機の搬出をおこないます。
解体現場や周辺の清掃
解体工事の後は、周辺も汚れてしまう場合があります。 周辺の掃除もしっかりとやってくれる業者とそのままの業者があるので、事前に確認しておきましょう。
工事完了・引き渡し
きれいに更地になった現場を確認しましょう。 確認後引き渡しとなります。
解体工事ステップ4|工事終了後にやること
解体工事終了後は、建物消失登記を行います。 建物消失登記は工事完了後1ヵ月以内におこなうように、不動産登記法57条で定められているものです。 建物滅失登記を忘れると以下のような不都合が生じます。
- ・土地を売れない
- ・固定資産税がかかる
- ・建て替えができない
- ・10万円以下の過料に処される場合もある
手続きは簡単におこなえますが、自分でやるのが困難な場合には委任も可能です。 建物滅失登記の申請ができるのは、以下の人です。
- ・土地家屋調査士
- ・司法書士
- ・自分
自分で申請をおこなえば低価格でできますので、自信があればやってみるのもよいでしょう。 申請場所は該当エリアの法務局です。 必要書類は以下のとおり。
- ・取毀証明書
- ・印鑑証明書
- ・資格証明書
解体工事にかかる日数
解体工事にかかる日数は約30坪ほどの木造家屋の場合で、おおよそ7~10日程度です。 当然ながら建物がより大きい場合には、10日以上かかる場合もあります。 逆に建物が小さい物件であれば、4~5日程度で完了するでしょう。 とはいえ諸条件により工期が伸びることもあるので、見積もりの際に工事日数を確認しておくと安心です。 関連記事:解体工事の期間はどれくらいかかる?工期が延びる原因と対処法とは
解体工事の費用はどれくらい?
解体工事の費用は、一般的には1坪あたり3万円~5万円程度です。 約30坪ほどの木造家屋なら、90万円~150万円程度が目安になります。 解体工事と一口に言ってもさまざまな工程や人手が必要なので、かなりの費用がかかるのです。 おもにかかる費用は以下のとおりです。
- ・建物取壊し費用
- ・廃棄物処理費用
- ・付帯工事費用
- ・諸費用
また土地の形状や建物の状態によっても、費用は上下します。 事前に見積りをとり、何にどのくらいの費用がかかるのかを把握しておきましょう。 関連記事:住宅解体費用について
“家族想い”の解体工事なら信頼できる建商へご相談を!
なにかと気をつかうことの多い解体工事。 ご近所へ配慮した解体をしてくれるのか、きちんと法に則っているのかなど、解体は業者選びが非常に重要なことがおわかりいただけたと思います。 さて、建商では、“家族想い”の解体工事を心がけております。 どこよりも丁寧な解体工事が自慢の建商なら、きっとご満足いただけるはずです。
- ・必ず現地調査をおこなってからのお見積り
- ・追加費用がある際には事前にご相談
- ・用途に合わせた解体工事
- ・工事前には近隣へのご挨拶
- ・用途に合わせた解体後の土地成形
- ・工事スケジュールは明確に
- ・スタッフのモラルの徹底
- ・建設リサイクル法に則った廃棄物処理
- ・トラブルの際には誠意をもって丁寧にご対応
- ・丁寧できれいなお引渡し
安心できる解体工事のご相談は、ぜひ建商へおまかせください。 お問い合わせはこちらから:株式会社建商 お問い合わせページ
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現地調査から近隣の方へのご挨拶、
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